愛する家族を亡くした直後、深い悲しみの中にいる遺族にとって、600人もの弔問客を迎える葬儀は、想像を絶する精神的・肉体的負担となります。葬儀当日、遺族は悲しみに浸る時間さえなく、次から次へと訪れる600人の挨拶に応じ、失礼がないように気を配り続けなければなりません。特に喪主を務める方は、弔辞を受け、参列者の顔色を伺い、式次第の判断を求められる中で、感情が麻痺してしまうこともあります。600人の視線が集中する祭壇の横で、数時間も立ち続け、あるいは座り続ける体力的な消耗も無視できません。このような大規模葬儀において遺族の心を守るためには、周囲による積極的なケアが必要です。まず、親族や葬儀社スタッフが、遺族が一人で抱え込まないよう役割を分散させることが重要です。「弔問客への挨拶は主要な親族数名で分担する」「個人的な話を聞きに来る人には、スタッフがそっとお引き取りを促す」といったバリアを作ることが必要です。600人全員と話すことは不可能であり、それを目指すことは遺族の崩壊を招きます。また、式の合間に、遺族が10分でも一人になれる静かな控え室を確保し、水分補給や深呼吸を促すことも大切です。600人という数字は、故人の死を祝福するものである一方で、遺族にとっては故人の不在を何度も突きつけられる辛い作業でもあります。葬儀が終わった後の反動、いわゆる「葬儀ロス」も大規模なほど激しくなる傾向があります。600人の喧騒から急に静まり返った自宅に戻ったとき、遺族は深い孤独感と虚脱感に襲われることがあります。周囲の友人は、葬儀当日の立派な振る舞いに安心するのではなく、すべてが終わった後の1週間、1ヶ月といった期間、こまめに声をかけるなどのアフターケアを心がけるべきです。また、600人分の香典帳の整理や礼状書きといった事務作業は、遺族に死を再体験させる苦痛な作業となるため、業者や親しい知人が積極的に代行することが望ましいです。600人の祈りに包まれることは、確かに栄誉なことではありますが、その中心にいる遺族は、誰よりも弱く、傷つきやすい状態にあることを忘れてはなりません。大規模葬儀の成功とは、単に儀式が円滑に進むことではなく、600人を迎え終えた遺族が、安らかに夜を眠れるようになることまでを含みます。