参列者が600人と見込まれる葬儀を計画する際、最も初期段階で、かつ成否を分ける決定的な要素となるのが斎場選びです。600人を収容できる施設は、単に床面積が広ければ良いというわけではありません。第一のポイントは「受付スペースの広さと構造」です。600人の参列者は、通夜や告別式の開始前後の特定の1時間に集中して訪れます。このとき、建物内に十分な待機スペースがないと、参列者は屋外で雨風に晒されながら待つことになります。ロビーの広さが100平方メートル以上あり、かつ受付を複数並列で設置できる電源や照明の設備が整っているかを確認しなければなりません。第二のポイントは「駐車場の収容台数と近隣の代替地」です。600人の葬儀では、少なくとも車200台から300台の来場を想定すべきです。斎場自体の駐車場が50台程度しかない場合、近隣の提携駐車場や臨時で借用できる空き地がどれだけ確保できるかが死活問題となります。駅から徒歩圏内であっても、地方や高齢者の参列が多い場合は車移動が主流となるため、駐車場のキャパシティは最優先事項です。第三のポイントは「斎場内の流動性(動線)」です。600人が焼香を終えた後、そのまま外へ出るのか、あるいは会食会場へ向かうのか、その動線が交差しない設計になっていることが重要です。エレベーターの数や階段の幅、トイレの個数に至るまで、600人がストレスなく利用できるインフラが備わっているかをチェックします。特にトイレの不足は大規模葬儀において参列者の大きな不満に繋がります。第四のポイントは「音響と映像設備」です。600人が収容される広いホールでは、後方の席まで導師の読経や喪主の挨拶がクリアに届かなければなりません。大型のモニターが複数設置され、最前列の様子をリアルタイムで中継できる設備があれば、600人全員が一体感を持って儀式に臨むことができます。最後に「葬儀社のサポート体制」です。600人の葬儀を経験したことのある熟練のディレクターが担当に付くか、そして当日の応援スタッフを20名以上確保できる動員力があるかを確認します。斎場というハコモノの性能と、それを使いこなすヒトのスキルの両輪が揃って初めて、600人の葬儀という巨大なプロジェクトを安全に完遂することが可能になります。斎場選びのミスは、当日の混乱を物理的に回避不能にするため、遺族は葬儀社から提示された候補地を必ず自分の目で確認し、600人が動く姿を頭の中でシミュレーションすることが強く推奨されます。