参列者600人を迎える葬儀において、実務上の大きな関門の一つが、600人分の「返礼品(会葬御礼品)」の管理と準備です。返礼品の不備は、わざわざ足を運んでくださった方々への最大の失礼となり、喪家の品格を問われる事態になりかねません。600人という大規模な場合、まず考慮すべきは「予備の数」です。600人の案内状を出したとしても、実際には当日の飛び込み参列や、家族連れでの参列などが予想されるため、少なくとも全体の一割増し、つまり660から700セットを確保しておくのが業界の常識です。返礼品の内容は、600人という人数を考慮し、持ち運びが容易で軽量なもの、例えば銘茶や海苔、あるいは最近ではカタログギフトのカード形式などが選ばれることが多いです。600個という物量は、斎場のバックヤードを占拠するため、段ボール箱の配置や開封の手順まで計算しておかなければなりません。返礼品を渡すタイミングについても、受付で記帳と引き換えに渡すスタイルが一般的ですが、600人の列を止めないよう、スタッフが2名1組で常に袋を開けた状態でスタンバイし、アイコンタクトで迅速に手渡す訓練を行います。さらに、大規模葬儀では「香典の額に応じた後日返し」の手間を減らすために、その場ですべての返礼を完結させる「当日返し」が好まれますが、その場合は2000円から3000円程度の品物を一律に用意します。もし、600人分の返礼品が途中で足りなくなった場合は、葬儀社が用意している「汎用品」で一時的に凌ぐことになりますが、その際も後日改めて、本来お渡しすべき品物を詫び状と共に郵送する手配を即座に決断できる体制が必要です。また、600人の参列者の中には、仕事上の付き合いなどで数名分まとめて香典を持ってくる方もいます。その場合、返礼品も数分お渡しすることになるため、在庫管理は予想以上に激しく動きます。返礼品の余りについては、未開封分に限り返品が可能な契約を葬儀社と結んでおくことで、無駄なコストを抑えることができます。600人分の品物を扱うという行為は、故人から参列者への最後の「感謝のしるし」を配るという神聖な任務です。その1つ1つに感謝の心が宿るよう、丁寧な包装と、渡す際の一言の添え方をスタッフ教育に徹底することが、大規模葬儀を成功に導く実務的な秘訣となります。
600人分の返礼品準備で失敗しないための実務知識