近年、葬儀の形式として選択されることが増えている「直葬(ちょくそう)」。通夜や告別式といった儀式を行わず、ごく限られた親族のみで火葬場へ赴き、火葬を執り行う最もシンプルな葬儀形態です。その最大の魅力は、費用を大幅に抑えられる点にあります。直葬の費用相場は、全国的には20万円から40万円程度とされており、一般的な葬儀に比べて経済的な負担が格段に軽いのが特徴です。では、この費用には一体何が含まれているのでしょうか。基本的なプランに含まれるのは、まず「ご遺体の搬送」です。病院や警察署などからご遺体を安置場所まで運ぶ寝台車の手配が含まれます。次に「ご遺体の安置」にかかる費用。これには、自宅または専用の安置施設での安置費用や、ご遺体の状態を保つためのドライアイス代などが含まれます。また、火葬を行うために必要な手続きの代行、例えば死亡届の提出や火葬許可証の取得などもプランに含まれているのが一般的です。そして、火葬に最低限必要な「棺」や、ご遺骨を納める「骨壺・骨箱」も費用に含まれています。一方で、注意が必要なのはプランに含まれていない費用です。最も代表的なのが「火葬料金」です。多くの直葬プランでは、火葬場に支払う実費である火葬料金は別途とされています。これは、火葬場の運営形態(公営か民営か)や、故人がその地域の住民であるかどうかによって料金が大きく変動するためです。また、宗教者を呼んで読経をしてもらう場合の「お布施」や、火葬中の待合室で取る食事や飲み物の費用なども含まれていません。提示されたプラン料金だけで全てが完結するわけではないことを理解し、総額でいくらかかるのかを事前にしっかりと確認することが大切です。